住まいのまつり

 私たち日本人は、自然とともに生活し、自然の恵みとそのおかげに感謝し、事あるごとにまつりを行ってきました。それは、日本人にとって神さまが非常に身近な存在であって、神さまとともに日々の生活を営む中で、いつも家に災いがなく、家族がみんな元気で暮らせるように祈り、感謝するのが日本人の暮らしぶりだからです。とりわけ住まいに関するおまつりは、厳粛なおのとして行わなければなりません。一般的に行われる住まいに関するおまつりは次の通りです。

地鎮祭(とこしづめのまつり)

 地鎮祭りは、「じちんさい」または「地祭り」ともいいます。建物の新築、土木工事などの起工に際して、その土地の守護神をまつり、工事の無事進行、完成と土地建物の安全堅固を祈るおまつりです。

<地鎮祭で準備するもの>
 葉つき青竹4本、しめ縄、盛砂、鋤(スコップ)などを用意します。

【神饌(しんせん) -お供えもの- 】

  1. 米 1升
  2. 酒 1升~
  3. 魚 尾頭付き1尾または2尾
  4. 海菜 1~2品
  5. 野菜 2~3品
  6. 果物 2~3品
  7. 塩 適量
  8. 水 1合

 ※これらは一応の目安ですので、準備品を含めて詳しくは相談して下さい。

上棟式(むねあげまつり)

 上棟祭は、「じょうとうさい」または「棟上げ・建て前」ともいいます。基礎工事が終って柱が立ち棟木があったときに行なうおまつりです。建物の新築あるいは増改築等に際し、棟木を上げるのに当たり、家屋の守護神並びに工匠の神をまつり、末長く災いなく、良き建物として栄えることを祈るおまつりです。
 上棟祭は、上棟、槌打、散餅・散銭の儀があります。槌打ちの儀というのは、『千歳棟』『万歳棟』『永々棟』のかけ声とともに木槌で棟木の元末を打ち堅める儀式です。散餅・散銭の儀というのは、屋根の上より、餅と銭を撒く儀式で、方位の神さまへのお供え物とも、また福を頒ける意ともいわれています。

新宅祭(しんたくさい)

 新築や中古の家にかかわらず、入居する祭りには必ず家のお祓いを行います。地域によっては「火入れ・家移り・家祓い」などともいわれ、新築した家屋やアパート・中古住宅・建売住宅などを祓い清め、末長く安全堅固であることと、家族の健康と繁栄を祈願するおまつりです。
また、会社の社屋が完成した場合には竣工祭、事務所開所の場合には事務所開きのお祓いを行い、社屋の安全と社運隆昌などを祈願します。
 尚、おまつりを行う場所は、新たに神棚を設けて神さまをおまつりして行うのが通常ですが、神棚をまだ設けていない場合は、床の間のある部屋あるいは居間などで行います。会社の場合は、神棚を設ける部屋が望ましいのですが、参列者が多い時は会議室などを臨時の祭場としておまつりを行います。

私の家では、構造上神棚をつけられないのですが、その場合は神棚を設けなくてもよいのでしょうか

住宅事情が変化した現代では、神棚を設けることが困難な住宅やマンションなどがあるようです。しかし、だからといって神棚を設けないことは決して良いことではありません。家庭に神棚をおまつりすることは、私たちのご先祖が長年にわたって伝えてきた日本人の麗しい伝統的習慣であるからです。大切なことは、家の守り神として神さまをおまつりし、日々お祈りする「祈りの場」を家庭に作ることですので、リビングのサイドボードや棚の上に、小さな宮形(おやしろ)を置いたり、それぞれのご家庭の事情に合った形でおまつりしましょう。簡易の宮形などもございますので、当神社にご相談下さい。

解体の静祓

 長い間住んできた建物を建替える(増改築を含む)にあたり、その建物に鎮まって守り神となっていた多くの神々に感謝し、この解体工事の無事を祈るおまつりです。
また、井戸を取り壊したり埋め立てたり、浴室・台所・トイレなどの水廻りを変更したりする場合にも清祓のおまつりを行います。

【建物の解体清祓・その他のお祭り】

「解体清祓」ってどんなお祭りなの?

 建物に関するお祭りで意外に忘れがちなお祭りが、取り壊しのお祭りです。
 古くなった建物を壊すにあたって行われるお祭りが「解体清祓」や「取り壊し始祭」と呼ばれるお祭りです。
 まず建物を祓い清め、家屋の守り神である屋船久久遅神と屋船豊受姫神に対して、これまで長年にわたり、何事もなく無事に過ごさせていただいた感謝の気持ちを表すとともに、取り壊しの事情を奉告し、また、お許しをいただき、解体工事がすみやかに無事終了するように祈願するお祭りです。

増築・改築でもお祭りはするの?

 建物に関するお祭り全般にいえることですが、日常生活に密接に関わっている家屋や屋敷地内に手を加える造作などに際しては、それぞれを司る神様に対して、工事にいたる事情を奉告し、工事の安全はもとより平安な生活を送るための祈りを捧げるおまつりが必要となります。
 また、建物・敷地の構造物が変わるということは、その家の家相にも影響を及ぼしますので、古来より注意を要するものとされてきました。清々しい新生活を送るためにもきちんとお祓いを受けなければなりません。

井戸を埋めるときはどうするの?

 今日では上水道の普及と地下水の衛生面からあまり使われることがなくなった井戸も、少し前までは大事に使われてきました。井戸を埋めるのにあたってはもちろんのこと、敷地内に古井戸の跡がある場合にも、工事を始めるに際しては必ず井戸埋めのお祓いを行います。長い間、水の恵みを与えてくださった水の神様「弥都波能売神(みつはのめのかみ)・御井神(みいのかみ)」に井戸を埋めることを奉告すると共に、御神徳に感謝し、今後も災いがないよう祈願をします。
 便所の取り壊しや埋め戻しなどにおいても、同様のことがいえます。

「門・塀」「池」などのお祭りがあるの?

 門や塀は敷地を外界と隔てる役割をもっております。神社でいえば鳥居や神門にあたります。取り壊しや立て始めに際しては、その事情を奉告し工事の安全などをご祈願します。
 また、邸内の池の作事や埋め戻しに対しても、水の神様にその事情の奉告をおこない、工事の安全と家庭生活の平安をお祈りします。築山や庭石などの造作についても同様のことがいえます。

庭の木を切るときにお祓いは必要なの?

 一般に樹木や草木には、精霊が宿るとされております。樹木や岩石は、神の依り代として古くから広く信仰されています。国土の大半を森林が占めている日本は、樹木と密接なつながりを保ちながら豊かな文化を育んできました。
 「木」の語源は「生」で、生成繁茂する様子によるとの説もあるように、樹木は生命力を象徴するものとして大切にされてきたものです。樹木を神聖視する例は古くから世界中にありますが、それを現代にまで引き継いでいるのは日本だけかもしれません。自然環境の保護が叫ばれる今、祖先から守り伝えてきたこの誇るべき財産を、未来に確実に伝えていきたいものです。神社の森はもちろんのこと、屋敷内の大木などをやむを得ず伐採するときには、樹木に宿る木霊に感謝し、鎮まっていただくために、神職によるお祓いを行います。

住のまつりのお申し込みの仕方

 まずは祈願の日時が決まりましたら神社にお電話ください。
出張祭典は、完全予約制ですので、お申し込みください。
出来るだけご希望の日時に添う様にいたしますが、「大安吉日の休日」などは、祭典が重なってしまうことがありますので、お早目のお申し込みをお勧めいたします。

電話受付で、聞く内容

○ 受付される方のお名前と電話番号を教えてください。
○ 何を祈願してほしいのか(例、地鎮祭、家祓い、など)
○ ご祈祷してほしい希望の日時。
○ 現場(祭典を行う場所)の正確な住所。
○ 施主主(建主名または会社名)
○ 設計社名、施工者名

※神社よりお供え物、初穂料など、ご準備品について、お知らせします。
わからない事などありましたら遠慮なく質問して下さい。